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バックヤード

アニメ「おそ松さん」を血を流しつつ視聴する

「おそ松さん」10話 しんどい私はそのままで良いのかという話

はい。こんにちは。見ていただいている方ありがとうございます。

というわけで今回も「おそ松さん」10話について書いていこうと思います。

 

10話はアバン(OP前)とAパートのみの構成になっていました。
Aパート、なかなかはっちゃけていましたね。
六つ子の性格の差みたいなのがいっぱい見られて楽しかったです。

それで、

それでですね、

今回考えていきたいのはレンタル彼女の是非ではなく、

OP前の釣り堀トークです。

 

ここへ来てまさかのど直球に私は動揺し
思わず一時停止をかけ(録画組です)
今見たものを消化するためにしばらく黙って座って
冷静にもう一度見直そうとして冷静になれず一時停止をかけ
みたいなことを五回ぐらいやっていました。なんだあれ。

おそ松さんは本当に素晴らしいアニメで、何が素晴らしいかって
毎回このぐらいかな、これぐらいなら耐えられるな、というところを軽やかに超えてこちらをぶん殴ってくるところでして、そんなわけでこの突発1エントリ限りブログになりそうだったここに通っているわけです。

 

今回のテーマは「カラ松はそのままでいいのか」問題です。

 

どうやらTLを眺めていると、長男おそ松次男カラ松の会話に「救われた」と語る視聴者と「闇が深まった」と語る視聴者がいるようです。
もう本当に、この差はでかい。同じものを見てどうもこう違うコメントが出るのだ。
んで、結局どっちなんだ!ということをちょっと考えたい。

 

動揺と混乱のためいつもより文章が散らかっております。ご注意ください。

 

加えて一度お断りしておきますが、このブログで言ったことはありませんでしたが私の推し松はおそ松兄さんであり、兄さん可愛いよと叫びながら自分の貯金用封筒に「おそ兄のパチンコ代」って書いて嬉々としてお札を突っ込んでるような馬鹿女なので、その視点は省こうと思いつつも兄さんに関してはちょっと頭が回らないところがあるのでその辺はご容赦ください。今夜は最高!!!!!

 

さて、会話を振り返りましょう。

・並んで釣りをする二人。悩みがあると言うカラ松
・「まぁお前は悩んだ方がいいよね、ああ俺もか」と言って笑うおそ松
・カラ松の悩みは「イタいと言われる意味がわからない」こと
・それにおそ松は「イタいのがカラ松、変わる必要はない」と言う
・それでもと言うカラ松に、おそ松はカラ松のファッションのイタい要素を指摘し、大げさにイタがる。動揺するカラ松。
・急にイタがるのをやめ、「耐性がついた」と言うおそ松。

「お前は変わらなくていいよカラ松。周りの感覚が馬鹿になればいいんだ」

・納得するカラ松。並んで釣りを続ける二人。
・「何が良かったの???」と堀から飛び出し突っ込むトド松。

 

衝撃的です。
まず、このアニメがただのコントで笑いを取るための役割論を捨てているということを直球で宣言しています。もうただの「深読みでしょ?」では済まされないところにきている。
カラ松は兄弟達や周囲から理不尽な目に遭うことで笑いを取り、パラレルでは出オチと呼ばれ、兄弟からウザがられることでギャグアニメ(自己責任アニメと本人達は言い張りますが)のキャラクターとして成り立っていたキャラです。そんなキャラクターがそれを悩むということは、彼のギャグアニメにおける存在に関わる問題です。悩んでいるかもしれない、でも少なくとも「悩みがある」と宣言する必要はない。それでも彼は言った。
そういう風には生きていたくない、自分は兄弟を愛しているのだから、と。
やっぱこれギャグアニメじゃなかったわ、と思いつつ、それに対してどう答えが返ってくるのかというと

 

「それがカラ松、変わる必要はない」
「変わらなくていい、周りが慣れればいいのだから、周りが馬鹿になればいい」

うわーーーーーー!!!う、うわーーーーー!!

 

言語を失っている場合ではないので、なんとか言葉でこのやり場のなさを書こうと思います。

結論から言うと、私はこの言葉でカラ松が救われて良いのかもわかりませんし、しんどい私がこの言葉で楽になれるのかというと、それもわかりません。
なんかもう、わからないんです。

まず、カラ松は親や周囲から十分に「見られる」戦略として外面を武装し、ロールモデルを作って自分というキャラクターを構築した結果、少し失敗して周囲から見放されてしまった存在だということを前のエントリで書きました。


今回の会話で、カラ松はそもそも「なぜその戦略が失敗したのか」を理解していないことがわかりました。だから、どんなに無視されてもカッコつけることをやめません。無視されるのは嫌でも、どこに原因があるのかはわからないのです。でも、「イタい」と言う言葉から、「自分がきっと誰かに不快な思いをさせている、だから見てもらえないんだ」というふうに思っている。原因はわからないけれど、理由はわかっています。
だから、今回はその理由から、原因を知ろうと相談したわけです。
彼にとって唯一の兄であるおそ松に。

対して、おそ松はどういう男かというと、彼は六つ子の長男であり、なんといってもこのアニメのタイトルは「おそ松さん」です。彼は子供の頃から集合体の代表であり、「俺たちは俺」というのがしっくりくるキャラクターです。扶養面接では、一度母親に寄せてから、わがままな本音を暴露し甘えてみせることで扶養を勝ち取るという実力をみせつけました。彼はそれなりに「見られる」ことに成功し、また空気を読む能力も持ち、兄弟の代表としての信頼を(そこそこ)得られるように自分を演出する戦略をとることもしています。カラ松が負け組であるとすれば、彼は勝ち組です。松野家の兄弟カーストで上位に位置しています。
そしておそ松は、カラ松がなぜイタがられるのか、その原因をきちんと把握しています。

 

問題は、おそ松の言う「そのまま」が何を指しているのかという問題です。

 

カラ松にとって、「そのままでいい」が欲しい言葉であったのは確かです。お前は悪くない。周囲が変わればいい。そうすればお前が誰も不快にしない時がくる。
これはある意味では真理です。彼がどんな男であろうと、周囲が理解を示して、暖かく付き合っていくということは可能ですし、理想です。
「そのまま」が、「お前がどんな格好をしていても、お前自身なら」という意味であれば、それは優しい一言でしょう。

 

しかし、この文脈で、しかもおそ松からの言葉だと考えると、それがこの世界で彼が望んだように生きていくためには適切なものかどうかが怪しくなってきます。

「そのまま」が「カラ松の間違った戦略」を指している場合です。
カラ松がこのままイタい格好をし続けたとして、現状が変わることはおそらくありません。それは彼にずっと「負け組でいろ、見られない存在でいろ」と言うのに等しい。
周りが馬鹿になれば良い、というのはただ、お前を理解できない周りがおかしい、と言っているのではなく、お前はおかしい、という前提に立った言葉です。

おそ松はおそらくこの狂った松野家のカースト制度構造の中でうまく機能する術を最も身につけている存在です。彼からの、「そのままでいい」はそのシステムを今後も滞りなく継続させていくための彼の戦略とも読むことができます。意識的か無意識的かはわかりませんが。

 

そして、カラ松はその言葉に「よかった」と安心します。おそらくは心から。
「そのままでいい」はカラ松の欲しかった言葉でありつつ、現状を何も変えない力を持った、甘く残酷な言葉です。そして、カラ松にはそれにあらがうほどのパワーがありません。

それがどんなものであれ、彼はそれを自己生産し続けなくてはならないほど、肯定に飢えているのですから。

 

最後につっこみを入れたトド松は、松野家カーストの中で本来比較的弱者でありながら、上とつながって居場所を手に入れたり、外へと出て行ったりと、特殊な位置にいます。
そんな彼からの「そうやって安心してる場合じゃないよ」というツッコミと、その後の沈黙が、一見穏やかで前向きに見える会話にひっかかりを残します。

 

で、こう書いてはみたんですけど、

やっぱりわかんないんですよ、この「そのままでいいのか」問題。

そのままでいいわけがないということは重々承知しています。

ただ、そんななんの解決にもならない言葉でも、欲しいものは欲しいんですよね。

なんでもいいから、そう言ってもらえたら、現状が何にも変わらなくても生きていけるような気はする。

本当は、「どんなでも良いから、君が好きだよ」「大丈夫だよ」がもらえれば良いのですが、それはなかなか難しいことなので、とにかく今は「そのままでいい」で十分。

そういう気持ちも、めちゃくちゃわかるんですよね。

だから、一言で、そのままでいいのかどうか、わかりません。
今後、そういう現状を変えないまやかしの「大丈夫」で少し栄養をつけて、それからの辛い「そんなんじゃダメ」に耐えられる体力をつけられるような状況になれるのかどうか、そこにかかっていると思います。

 

こんだけ長い文書いておいて「保留」というのはどうかと思うのですが、今後彼の悩みにどうオチをつけてくれるのか、私はすごく楽しみにしています。

このアニメは非常に残酷で、それを見せてくれる真面目で親切な優しいアニメです。泣いたり笑ったりは自己責任ですが、自己責任を取らせるだけのリスクに見合う何かしらを毎回提供してくれることは確かです。

 

いつも以上の駄文、失礼いたしました。本当、血反吐が止まらない世紀末アニメです。今夜は最高!!!!!

 

 

 

お粗末様でした。